ある日、サン・フランシスコの日本町にある広場で、日系の新聞を読んでいたら、浅丘ルリ子・石坂浩二離婚の記事が載っていた。
もう14年ぐらい別居していて、石坂浩二は親の面倒をみたいが、大女優である浅丘ルリ子には迷惑をかけたくないので、離婚に踏み切ったそうである。
(離婚から1週間ぐらいで石坂は再婚するのだが・・・・)
ところで、私はこの浅丘・石坂夫婦の仲人で結婚した夫婦とゴルフをしたことがある。
私を含めて6人ぐらいで、次のような行程でプレイしたのである。
1日目: Half Moon bay GL - Pasatienmpo GC (ザ・ロッジ泊)
2日目: Peble Beach GC - Poppy Hills GC (カーメル泊)
3日目 :Edgewood GC(Lake Tahoe) - Lake Ridge GC(リノ泊)
最後の日、El Dorado Hotel の中華料理を食べながら、長島茂雄そっくりの
F氏が、一回りぐらい若い奥さんに一瞥して、浅丘ルリ子の話を始めた。
昔「スター千夜一夜」と言う番組があった。石坂浩二がスターにインタビューする15分番組のプロデューサーであったF氏は、この縁で仲人を依頼したそうです。
「仲人をしてもらおうと浅丘・石坂邸を訪ねたわけですよ。」とアルカイック・スマイルを浮かべながら話し出した。
「浅丘ルリ子とは、一度紹介されてはいるが、自宅で会ったことがなかったんですよ。」
「緊張しながら、彼女と訪問したわけですよ。」と<長島さん>は続けた。
「玄関のブザーを押すと石坂浩二ひとりが迎えてくれたんですね。」
「我々が客間にとうされて、暫くするとブザーが鳴るわけよ。」
「xx寿司でーす。と甲高い声が響くや否や、ひとりの女性が廊下から玄関に足早に駆け込むわけよ。」
「4人前の寿司を、先ほどの女性が我々の前に並べるわけよ。」と話はここからだと言わんばかりにビールを一気に飲んだ。
「俺は小さい声で石坂浩二に聞いたわけよ。」
「{お手伝いさんがいたんですね。}ってね。」
「ところが{いや、あれが浅丘ルリ子だ}って言うんだよ。」
「俺は、血の気がひいて、困った様子をしていると。」
「石坂が{気にしなくていいよ、みんな同じような質問をするから。まぁ、化粧を落とすと誰も分からないね。私も時々、奇妙な気分になることがあるんだよ。よその人がお手伝いさんと思ってもやむを得ないな。}と言ってくれたんで助かったのよ。」と言いながらまた、満足そうにビールを飲み始めた。
私はこの話を聞いても、浅丘ルリ子に対する評価は変わらなかった。
昔、彼女の映画をよく見たものである。石原裕次郎との共演が多い為だが、彼女は奇麗で可愛い女優であった。
何度か寅さんシリーズに出演していたが、味のある女優になった。
今後とも益々、映画、舞台に頑張って欲しいものである。
新聞を読み終え立ち上がると、ひとりの中年の女性が私を見て軽く会釈をした。
私もさそわれるように会釈すると簡単な挨拶をして立ち去った。
知人に違いないのだが、なかなか思い出せない。
「一体誰だったかなー。」と呟きながら、しばらく考えていると”先生”が買い物から戻って来た。
お好み焼きが食べたいと言う”先生”に従って店に入ると、先程の女性の事はもうすっかり忘れてしまっていた。