Shizuko's
Ceramic Class

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管理人の戯れ言

23.えひめ丸
2月15日午後、宇和島水産高校実習船「えひめ丸」はハワイ・オアフ島沖で米原潜「グリーンビル」と衝突して沈没した。
26人救助。9人死亡。
衝突の原因は米原潜「グリーンビル」の緊急浮上訓練時の不注意。
これについては様々な報道がなされた。
*甲板士官は「えひめ丸」の存在を知りつつも、民間人が大勢いたため艦長に伝えられなかった。(民間人は原潜の宣伝の為に、以前から訓練時に招待されていた。)
*原潜の乗組員は民間人に気を取られていた。
*民間人が原潜の操縦レバーに手を掛けていた。(操縦していたと、書けばいいと思うが、新聞のみならず、テレビでも「手を掛けていた。」と表現していた。)
*操縦していた民間人によると、乗組員が何度も潜望鏡で確認した後、ワドル艦長も2度海上の確認をしてから、緊急浮上した。
*実習船「えひめ丸」と原潜「グリーンビル」の衝突事故は、米海軍の潜水鑑訓練海域から数マイル外れた位置で起きていた事。

簡単にまとめると、訓練してはいけない場所で、民間人に気を取られ、潜望鏡は何度も見るがレンズの先は確認しなかったと言う事だろう。

ところで、私が感心したのは「謝罪」と「えひめ丸引き揚げ」を強く求める遺族の態度である。
自分の息子、家族を失った遺族がこの二つのことを求めるのは当然と考えるだろうが、ただの「事故」と判断した森首相とは大きな隔たりがある。
アメリカという巨大な怪物を前に、一歩もいかない態度に感動した。
自分の愛するかけがえのない人を失った人たちの力。
アメリカに逆らった政治家(田中、細川首相)は共にスキャンダルに散ったが、この遺族たちは強い。
「謝罪」も「えひめ丸引き揚げ」も勝ち取った。
ワシントン・ポストの記者が「これ以上謝罪を求める事は、日米間にしこりを残す事になるので、止めるべきだ。」と言う記事を書いたそうである。
情けない。
遺族の望みは、自分の息子や家族が生きて戻って来る事だけだ。
本当は「謝罪」が欲しいのではないのだ。
叶わないこの願いを癒してくれるのは「謝罪」だけなのである。
「もう何度も誤ったのだから、いいかげんにしてくれ。」と言っているようなものだ。

「もうこれ以上我慢ができないので、遺族に謝罪したかった。」と言うワドル艦長と会った遺族は、艦長の真摯な謝罪に心が癒されたそうである。
大粒の涙を流しながら詫びるワドル艦長を見て、怒りの対象を失っていく寂しさも感じたに違いない。
私は査問会議中に刑事訴追の恐れがあるワドル艦長が、謝罪したことに驚いた。
カリフォルニアの法律も緩和されたそうだが、「謝罪」が「証拠」と見なされるアメリカの法律は人間を無味にしているように思われる。

これからも遺族の戦いは続くだろう。
6ヶ月以上はかかる「えひめ丸」の引き揚げ。
軍法会議の行方。

遺族の愛情は亡くなった子供たちにも届いている事だろう。
この事故を知ったハワイのウクレレ奏者が「えひめ丸」と共に亡くなった9人の為に曲を作った。
この日系人ウクレレ奏者が弾いた「えひめ丸のレクイエム」が心に沁みる。

2001年3月24日


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