突然、”先生”が4月29日の日曜日に昼食会をする事に決めた。
昨年は6月に会を催し、バーベキューには最高の日でしたので、今年も6月と思っていた私は少々驚いた。2週間前のことである。
体調が悪かったため、忘年会ができなかったから早くしたのだろうか。
前日の土曜日に突風が吹き、気温も低くなり肌寒さが心配されたが、当日は風もやみ素晴らしい天気のもとで、総勢36人が楽しい昼食会をもつことができました。
普段、”先生”からあまり表に出てこないように言われている私だが、バーベキューをしなければならないし、カメラ、ビデオも任されてしまった。
このウエッブ・サイトで顔を知っているせいか、特別の機会がない限り話すことがない皆さんでも、長年の知己のような親しみを感じた。
ただ一人、見覚えのない生徒さんがいた。写真を撮っていなかったカリーさんである。
良家のお嬢さんのようなカリーさんはお友達を連れだって来てくれた。
京都から来たというKyokoさんもまたお嬢さんそのものだった。
今、サン・フランシスコでホームスティーしているのだが、部屋の中が寒くて[死にそう]だそうである。大家が十分な暖房をいれてくれないらしい。
寒い京都でも、一日たりとも寒い日を味わったことがないようなお嬢さんだった。
その彼女が手作りの柏餅を持参してくれた。
本物の柏で作ったその柏餅は、京都の老舗の職人が端正をこめて作ったものと、なんら変わりはなかった。
私は日差しを避けるために、家のなかのテーブルに他のデザートと一緒に置いた。
昼食会も終わりにかかり、私は皆さんが帰る前に、デザートをサーブしなければならないと思った。
柏餅をサーブした時に”事件”が起きた。
ただ急いでサーブしなければならないと思った私に、”お嬢さんだった先生”は眉間に皺を寄せ言った。
「何をしてるの?」
「その柏餅は、半分にするつもりで包丁も用意していたのに・・・もう。」
「そのままじゃ、皆さんにまわらないでしょ。」
私は先に言ってくれればいいのにと思いながらも、納得せざるをえなかった。
何故なら、十数個の柏餅はもうなかったからである。
突然、ゴルゴタの丘から救世主が現れた。
「どうぞ私の柏餅を半分にしますので、食べて下さい。」
と一部始終を聞いていたみみさんが言った。
”お嬢さんだった先生”は
「ええ、そんな・・・大丈夫ですよ。」と言いながらも、神の恵みを美味しそうに食べていた。
私は救われた。
”先生”の眉間の皺を見た時、また倒れるのではないかと危惧されたからだ。
”先生”に笑顔が戻り、眉間から皺が消えた。私の心臓に平静が蘇えった。
ところで、私の間違いで食べられなかった人たちに、深くお詫びをすると共に、次回は皆様にも神のお慈悲がありますようにお祈り申し上げます。
「俺も食べたかったなー。」