Shizuko's
Ceramic Class

[ホーム] [プロフィール] [ギャラリー1] [ギャラリー2] [ギャラリー3] [ギャラリー4]
[展示] [CONTACT US] [やきものの工程] [陶芸教室] [リンク]

管理人の戯れ言

30.有名人の話(クリント・イーストウッド)
4月19日から5月3日まで第44回サン・フランシスコ国際映画祭が開催された。
5月1日に私は”先生”とワールド・プレミア「Sidewalks of New York」を観る事にしていた。

黒沢明賞にはマカロニ・ウエスタン「荒野の用心棒」で一躍大スターになったクリント・イーストウッドが選ばれた。
新聞によると、インタビューに次のように答えていた。
「黒沢明は尊敬している監督であり、この賞を受賞することは光栄に思っています。私の出世作である「荒野の用心棒」に巡り合えて最高でした。ただイタリア人が著作権をとるのを忘れていましたが・・・・。」
この映画は黒沢監督の「用心棒」をイタリアの製作者が著作権なしでコピーしたものである。
この賞をクリント・イーストウッドに与えるのは粋な計らいに思われて嬉しかった。この盗作問題は大スターである彼にも、納得できないことであったろうし、黒沢明賞を受賞することで認知された気持ちになったのではないだろうか。

ところで、彼がダーティーハリー・シリーズの「Sudden Impact」を撮影中の所に偶然遭遇した事がある。
日本からの知人を夜の観光案内をしている時でした。
マリリン・モンローとジョー・デマジョが結婚式をしたというサン・フランシスコのセント・ポール教会の前で撮影をしていたのである。
コロンバス通りをフィッシャーマンズ・ウォーフに向かっていた我々にはすぐに映画の撮影とわかりました。
まさかクリント・イーストウッドがいるとは思いもよらず、いいお土産になったはずです。
火だるまになるシーンがあるため、警察は勿論、消防車も待機していた。
大勢の野次馬に囲まれながらも、撮影は順調のようでした。
彼の動きは映画でもそんなに早くはないが、撮影ではもっとスローだった。
背が高いので尚更動作が緩慢に見えるのだろう。実際に仕上がった作品をみると不自然に見えないから不思議である。

撮影を眺めていた我々にドイツ人の観光客が声をかけてきた。
記念に写真を撮ってくれるというのだ。いくら照明があるといってもフラッシュなしで、我々の後ろの撮影現場が写るとは考えにくかったし、人垣しか写らないと思ったが、言われるままに記念写真をとってもらった。
ドイツから送ってくれると言っていたが、住所も聞かず笑顔だけを残して立ち去ってしまった。
Thank you for nothing.

夜7時からの出演者の舞台挨拶があるので、早めに着きたかったので6時には用意が出来ていた。
ワールド・プレミアということなので、スーツとまではいかなくても、久しぶりにブレザーを着ることにした。
紺のブレザーにグレーのパンツ。ネクタイはエルメス。シャツは淡いブルーのウィルクス・バッシュフォード製。
時計はカルチェもオメガも止まったままなので、セイコーにする。
靴はバリー。
ここ数年、あまりドレスアップもドレスダウンもした事のない私は、多少とまどいながらも、無難なところに落ち着いたのである。

娘を早めにジムナスティックからピックアップすると言って、出かけた”先生”が戻ってこない。
イライラしながら待っていると、ピックアップしてからセーフウエイで買い物もしてきたということだった。すでに6時30分である。
6時には用意ができていた私は、急いで余裕の”先生”を促し車に乗りサン・フランシスコのカブキ・シアターに向かった。
幸いフリー・ウエイもゴールデン・ゲート・ブリッジも空いていた。
日本町の駐車場に着くなり、私は(”先生”はあまり急いでいない。)急ぎ足で劇場に向かった。
劇場前は大勢の人で賑わっていた。
小走りぎみの私は、振返って”先生”を待とうとした瞬間、時が止まった。
周りの一切の騒音が消えた。
私の小さな心臓は止まりかけた。
顔面から「ゴロー・13」のように冷や汗がでてきた。
私は自分の足元を見たまま動くことが出来なかった。
それは正にバリーの靴だった。
しかし、私が履くつもりで靴箱から出したバリーではなかった。
毎日のように履き、靴墨も付けた事のないよれよれの”バリー”だったのである。
”先生”はいつものように大丈夫、大丈夫と言うのだが、気安めでしかなかった。
サイド・ウォークを羞恥心と共に歩き、劇場に入っていった。
私たちは劇場の前で悲劇「Sidewalks of San Francisco」を見せてしまった。

映画「Sidewalks of New York」はウッディ・アレンを彷彿させるエドワード・バーンズ監督・主演のコメディーで久しぶりにニューヨーク派(ハリウッドに対して)の映画を観た。
映画は喜劇がIchiban!。

2001年5月30日


Copyrights (C) 2000-2001,Ceramicstyle