Shizuko's
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管理人の戯れ言 |
37.ジェームス・ディーンと甘い誘惑 | |
私は太平洋に面した1号線をドライブしている。 誰もいない海岸沿いを突っ走るのは爽やかだ。 午後の西日に光る海と一艘の小船がキラキラして美しい。 そんな風景に見とれていると、すぐヘアピン・カーブにさしかかる。 ブレーキの音が波の音を打ち消す。 何度目かの左カーブで誘惑にかられる。 このまま直進したら、何と爽快なダイビングになることだろう。 普通の人は、恐怖感と激痛を伴うと想像するだろうが、本当はそうではない。 爽快感と虚無感とが混ざり合う。 痛みなど一切ない。
数週間前、テレビ(TNT)でマーク・ライデル監督の「James Dean」を観た。
実の父親でなかったことを告白する”父親”の改悛。
ジェームス・ディーンは真実がわかり、不信の呪縛から解き放された時、
”父親”の苦悩を理解したが、同時に”父親”を失った。
突然、光に照り付けられた青い海が、眼に飛び込んできた。
「夏の甘い誘惑」だった。
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2001年8月26日
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