今回は、明日発表になるアカデミー賞の予想をすることにしました。
以下が予想です。
作品賞:「A Beautiful Mind」
監督賞:Ron Howard「A Beautiful Mind」
主演男優賞:Russel Crow「A Beautiful Mind」
主演女優賞:Halle Berry「Monster's Ball」
助演男優賞:Ian Mckellen 「The Lord of the Rings」
助演女優賞:Jennifer Connery「A Beautiful Mind」
脚色賞:「A Beautiful Mind」
脚本賞:「Memento」
「A Beautiful Mind」は、すべてのカテゴリーで受賞する資格があるほど完璧な映画だろう。
そして、映画で最も重要な「編集賞」をここに追加しておこう。
この予想とは裏腹に現実に起こって欲しいことが一つある。
主演男優にWii Smithが選らばれればと思っている。
壇上に上がった彼のもとに最前列のモハメッド・アリがゆっくりと駆け寄り、
ウィル・スミスの顔面にパンチをするポーズ。
会場は総立ち。
45秒の持ち時間が、5分間のスタンディング・オーベーションと拍手の嵐に。
これぐらいの演出が出来ないわけがないだろう。
アカデミー賞はハリウッドの祭典なのだから。
しかし、ここで一つ忘れてはならない賞がある。特殊撮影の作品に与えられる
特撮賞である。
この賞には、以前「有名人の話」で書いたブレビック氏がノミネート
されたのである。
当然のことだが、受賞するのは「Pearl Harbor」のEric Brevig氏だろう。
対抗馬は「The Lord of the Rings」になるが、全編に装飾された特殊撮影には
驚嘆するものは何もない。
嘗て、先人が創造した特殊技術をそのまま継承したにすぎない。
「Jurasic Park」の二作目で、誰も恐竜たちの精巧さと臨場感には驚かないだろう。
この「The Lord of the Rings」にも同じことが言える。すべてが素晴らしいが、
すべてにおいて個性がない。それは原作自体の壮大さと面白さに圧倒されたからかもしれない。
長編のこの作品が飽きることもなく堪能できたのは、原作のみならず脚本、監督の力量に
よるところが多いだろう。
ただ、三部作の作品だからといって、
連続テレビのように「次回乞うご期待」という感じのエンディングは、4時間近く見てきた
観客にたいして失礼ではないか。
この点も作品賞・脚色賞に推挙できない理由のひとつである。
わたしとしては、未発表だが第三作にアカデミー作品賞を授与すればよいと考えている。
勿論、この作品より秀逸なものが、でないとは言いきれないのだが・・・
ところで「Pearl Harbor」はどうだろう。
この映画の戦闘場面を観たときに、わたしは子供のころ読んだ,ちばてつやの
「紫電改の鷹」を思い出した。白黒の漫画であったが、それは美しかったのである。
夕日が沈む太平洋に戦闘機が一機、機影を描きながら低空するシーンや
駆逐艦に攻撃をかける直前の幾何学的な戦隊とその悲壮感が
異様な美を醸し出していた。
本人も作品自体には満足していないのか「”Visual effects”と作品を区別してノミネート
してくれたアカデミーのメンバーに感謝している」と、云っているが、
それはアカデミーのメンバーが、ブレビック氏率いる「Sencond Unit」(特殊撮影班)を率直
に評価しているという証である。
私には忘れられないシーンが二つある。
山を歩いている二人の少年の前を、真珠湾攻撃の戦隊が駆け抜けて行くシーンと
草野球をしている少年たちの上空を、同じゼロ戦の戦隊が
飛んで行くシーンである。
この二つのシーンは二枚の印画紙となって、私の頭に焼き付いてしまったのである。
これから殺戮の戦場と化す数分後と、余りにもかけ離れた「美と凄惨」のハーモニーは
なんというアイロニーなのだろう。
彼にとってこのシーンは、力を入れた所ではないかもしれないが、
私には印象深いものになった。
このシーンだけでこの賞を受賞するに値するだろう。
余談だが、ブレビック氏の茶目っ気ぶりを紹介しよう。
昨年のことだが,
彼の家でこの映画の製作過程を
地下のミニ・シアターで氏の解説つきで見せてもらった。
真珠湾攻撃の直後、米軍による日本の軍需工場奇襲攻撃があるのだが、
軍需工場のセットを作っているうちに、自分の名前が入った工場を作りたくなったそうである。
「ブレビック工場」と日本語で書いた模型の工場を作ったのである。
米軍はアメリカ人経営の工場を襲撃することになってしまったのである。
よく見ると分かるそうだが、わたしはこの話の前に映画を観たので分からなかった。
ところで、一週間前に逢ったときには、もう、あのアロハ・シャツは着ていませんでした。
その話を”先生”にすると「管理人さんも,たまには同じものばかり着ていないで、
他のものを着たら」と一笑された。
「う・・・」私はわが身を見下ろした。
そのとおりであった。