Shizuko's Ceramic Class

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管理人の戯れ言

60.感傷旅行 Part 1

今年の夏休みはロス・アンジェルスとサン・ディエゴの五日間の旅に行った。
息子がロスの大学に入学することになったので、ドーム(寮)に入る日にこの旅行をあわせたのである。
ロスは度々行っているが、サン・ディエゴは何度も行こうと思いながらも、初めてだった。
マジック・マウンティンとシーワールドで楽しんできたのだが、”先生”はディズニーランドかユニバーサル・スタジオにも子供たちを連れて行きたかった。
しかし、驚いたことに子供たちは「遊園地」にはもう行きたくないと言い出した。 なんと不思議な子供たちなのだろうと思ったが、本当に行けなくて残念なのは”先生”のようだった。

ところで、マジック・マウンティンには苦い思い出があった。
昔、一番目の子供が小さい時、ここに来たことがある。
ディズニーランド、ナッツベリーファームなどロスの観光名所を網羅した最後の場所だった。
ロスから少し離れた所にあるこの遊園地は巨大なジェット・コースター(ローラーコースター)で有名だった。
私たちは子供連れの家族が少ないことに驚きながらも、園内を歩き続けた。
二才の子供が乗れる乗り物は一つもなかったのである。
当時世界一長いジェットコースターを前にして妻(当時は”先生”ではなかった)と私は呆然として、立ちすくんでいた。
大人一人で乗るのも気がのらなかった我々親子三人は、一つの乗り物にも乗らず、マジック・マウンティンを後にしたのである。
これは、私たちが今まで払った一番高い入場料だった。

マジック・マウンティンに入場してまもなくメリーゴーランドがあった。私は、あの時このメリーゴーランドに乗ったのだろうかと、思い巡らしながらゆっくり歩いた。
どこのアミューズメント・パークでも必ず乗ったメリーゴーランドに誰も乗らない。当然のことながら、子供たちは一瞥もしないで通り過ぎたのである。
前方を歩く上の娘が私に向かって嘲笑した。
「メリーゴーランドに乗りたいの?」
私は苦笑いをしながらみんなに追いついた。

我々には乗り物に関して一つのルールがあった。
ジェットコースターのようなスピードのあるものは私で、目が回りそうな乗り物は”先生”が子供と乗ることである。
私がコーヒーカップなどのように、同じところを回転する乗り物は苦手だったことがこのルールが出来た要因である。
下の娘が11才になり私は決心していた。もう怖そうなものには乗るまいと。
そして、みんなで「Roaring Rapids」というウォーターライドに乗った。私と”先生”はずぶ濡れになった。
どんよりとした日で爽やかではなかった。頭から靴までびしょ濡れになった。
私と”先生”は子供たちがいくつかの乗り物の乗るのを靴下を脱いで見ていたのだが、 いつしか乗りたくなってしまった。心なしか元気のない”先生”を強引に誘いジェットコースターに乗ることにした。「Psyclone」という古いもので、振動が頭を打ち音がうるさかった。
家族全員で乗ったはじめてのジェット・コースターだった。

帰り間際、私は我慢が出来ずあれに乗りたいと言い出した。ジェットコースターが360度回転する「Goliath」である。旧約聖書かギリシャ神話に出てくる巨人と同じ名前だった。
「お父さん、あれに乗りたいの」と興奮気味の下の娘とは裏腹に、上の二人の子供は出口に向かっていた。まるで乗らない方がいいかのように。
私は「Xtreme」という乗り物を発見した。私はこれでもいいと言った。”先生”は断固乗らないといったが、乗り場に向かった。上の二人の子供は心配そうだったが乗ることに決まった。 だが、行って見ると45分待ちの表示があった。
今日は、不思議にもどの乗り物も早く乗れた子供たちは、躊躇した。勿論、私も余り待ちたくはなかった。これからサン・ディエゴに向かわなければならないからである。 思案の末、余り並んでいないものを見つけてみんなで乗ることにした。
余り並んでいない「Revolution」がすぐ見つかった。
360度回転することを知っていた息子は、”先生”ばかりかカメラバッグも心配してくれた。
先ほどは、何とか水からバッグを守ったが、今回は360度回転するのである。
息子が持ってくれると言った。多分息子は私がバーにしがみ付いてカメラバックどころではないと思ったに違いない。
私はいつものように素直に息子の申し出を受け入れた。
息子はいつも気を使ってくれていた。
私が長距離ドライブで疲れていると、必ず声をかけて交代してくれた息子。
ゴルフでもプレイ後、駐車場まで歩かなければならない時など私のバッグを運んでくれた息子。
元気のない”先生”を息子と乗せるべきだったと、乗る寸前に思った。
子供より気配りの出来ない自分に恥じながらも、後悔はすぐに興奮で打ち消された。 息子は私のカメラバッグを抱え、一人で我々の後ろに乗った。
360度回転に私も、いやいや乗った”先生”も喚声をあげた。
乗っている時間は以外に短かった。
降りるなり息子が手首に巻いたストラップをはずして、笑顔で私にカメラバッグを渡した。
「これで満足した?」

9時間ぐらいの間、私と”先生”は3つの乗り物に乗っただけだったが、昔の分を取り戻したような気がした。
私の靴はマジック・マウンティンを出るときも濡れたままだったが、暖かなぬくもりが体中を流れていた。
そして、サン・ディエゴに向かった。
勿論、ドライバーは18才の息子だった。



                    Admission fee(Magic Mountain) with discount:$120.00
Lunch:$37.55
Bottle of water:$3.00

Traveling with whole family:Priceless

There are something money can't buy.

大学まであと3日。

8月25日2002年


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