Shizuko's Ceramic Class
管理人の戯れ言 |
74.バレンタインズ・デー
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三月十四日はバレンタインズ・デーだった。”先生”もやはり女だった。数日前から夕食は何処かでと期待していたようだ。ところが、娘が二日前からインフルエンザになってしまった。頭痛に加え熱は百度以上もあり、咳は止まらなかった。勿論、学校は休ませた。私はこの時点でバレンタインズ・デーのことを一瞬忘れてしまった。
バレンタインズ・デーの当日、熱が九十八度に下がった。頭痛が消え、咳だけになった。
この日、大概のレストランは予約で一杯である。私は予約をしていないので、タイ、インド、ベトナムなどのアジア系のレストランがいいだろうと思って”先生”に決めてもらった。私の経験からいうとおおむね予約なしで食べられた。
ところが、それは私の大きな勘違いだった。翌日の”先生”はおかんむりだった。
正確には土曜日のクラス終了後と言った方がいいだろう。
私は『しまった』と思った。というのもバラは忘れていたが、カードは買うつもりでいたからだった。
ところが、それすらも忘れていたのである。
だから私は『特別な日』が嫌いなのである。まして、昔はチョコレートを貰える日だったはずである。
「何気なくお小遣い上げたでしょ。あれでバラの一本ぐらい買ってもいいんじゃない」
その日の夕方、私は前庭にバラを植えることにした。前々から植えたいと思っていたのである。
土をならし、雑草よけのマットを敷く作業をしているうちに雨が降り出してきた。
私は明日にまたやろうと思っていると”先生”がレインコート姿で出てきた。
翌朝、バラの回りには水が溜まっていた。水はけが悪いところだったのだろう。
小さなバラの木が一本、浮き草のように水に浮いていた。
そこに”先生”が独り言を言いながらやって来た。 私は浮いていたバラの木を植えなおしながら、心の奥底で誓った。『いつか見飽きるほどのバラを育ててやる』と。
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2月18日2003年
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