Shizuko's Ceramic Class

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管理人の戯れ言

83.有名人の話 林真理子

   捨てようと思った雑誌の表紙に小説家の林真理子の姿があった。
 数年前、雑誌の表紙を飾った彼女の妊娠中の写真である。 カメラマンは人物写真の大家篠山紀信。
 実にシャープな映像で女史を”正面”からしっかりと撮っていた。 女史には失礼だが、とても美しい人ではないのだが、変な小細工を使わない 達人によって”美しい写真”に仕上がっていた。

 私だったら彼女のために多分「紗」を入れ、ソフトなタッチにしたに 違いない。何とか美しく仕上げようと努力する私と、 その辺が本物の眼を持つ達人との差であろう。

 私はこの林真理子と十年ぐらい前に、サン・フランシスコの 日本食レストランで遭遇したことがある。 フレンチ・レストランのあとに作られた「I」レストランのブースで 林真理子と付き人のような女性が一緒にランチを食べていた。

 私と同席していた日本から来た知人が
「林真理子だよ、彼女は・・・」
 と顔で合図しながら言うと、その声が聞こえたのか二人が同時に こちらを見た。 目が合うと何気なくそらしたが、残念ながら私の動悸は何ら変化する こともなかった。
 テレビのバラエティー番組や週刊誌の記事を通して毒舌家 という認識があったので、その頃の私は「女のくせに」という 偏見があったに違いない。だから、私は彼女を気にもとめなかったのだろう。

 私は一冊のエッセイ集を読んでみた。初期の頃のものから、最近のものまで まとめてあるものだった。
 男女を問わず、有名人タレントに毒舌を吐いている。この毒舌で女史は 人気があったことだろう。毒々しい文章から、次第に変化してきているのが わかった。近年の文章は洗練されて美しい文章になっているのである。 それはまるで、十年ほど前に出会ったときの女史から、今見ている女史の 雑誌の表紙のようでもある。

 私が見たあの頃の女史は、タレントへの毒舌ばかりでなく、日々反抗の 毎日だったことだろう。
それに引き換え現在は、結婚、出産、育児という女の道を歩み、 美しい文章のみならず、素晴らしい小説を書いていることでしょう。
 いつの日か女史の小説を読みたいものである。
 

12月6日2003年


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